アニメージュ(創刊100号当時)のサブキャラ観

久しぶりに古い本の整理をしていたら昔のアニメ雑誌のスクラップを発見したので読み返してみたら、アニメージュ創刊100号記念号の「マニアはサブキャラが大好き!」というコーナーのスクラップを発見!(ちなみに表紙はZZのジュドーとルー・ルカ。発行年月日は昭和61年10月10日となっていました。)
この記念号に備えて事前に読者からハガキでアンケート当時パソコンは今ほど普及しておらず、インターネットも無かった。)を取っていたようで、それを元に製作してあるようです。
今読み返してみると現在とのギャップが凄まじいですが、意外と面白かったので、ここでその内容をアップしてみました。


サブキャラとは?
物語とは第一に主人公(ヒーロー又はヒロイン)があり、物語は主人公を中心に進んでいく。
サブキャラはこの主人公を守り立てる役割を持っているキャラクターを指す。大きな意味でライバルと呼ばれ、上は主人公に敵対する側の人物から下は名も無いクラスメートまでを指す。
映画や演劇の賞で助演と呼ばれる人々のことであり、助演の役名がその物語におけるサブキャラとなるのである。


動物キャラの役柄
ここでは動物キャラのパターンについて大きく2つに分けています
@主人公と直接会話せず、動物同士で会話するパターン。
これは「じゃりん子チエ」に登場する小鉄とアントニオJr. それと「銀牙−流れ星銀−」の犬達を例に出しています。
A主人公等と直接会話するパターン。
これは「魔法少女シリーズ」に登場する妖精が動物に化身したものを例にたとえています。
ここでは動物達が実生活で起こったら楽しいだろうことを物語の中でやって、ストーリーにふくらみを持たせているということを語っています。


悪役は最大のサブキャラ
ここでは悪役の比重を特に高いと位置づけています。
@組織的な悪役。
ロボット物等の悪の組織が主で、敵の首領や大幹部を指しています。
A主人公に敵対する、もしくはドラマの上での悪役
犯罪者や、主人公を恨んでいる人のことを指しています。
B@とAの特徴を併せ持っている悪役。
ここでは「蒼き流星 SPTレイズナー」のゴステロというキャラを挙げています。
組織に属しているけど、アウトロー的な個人行動の多いキャラを指しているようです。ガンダムの中では「Z」のヤザンが一番近いかもしれません。
このパターンにはスポーツ物に多いライバル関係も挙げていますが、ライバルが悪役とは言い切れないので別で考えた方がいいと語っています。


美形キャラは番組の華
美形キャラとは言うまでも無く、美しい容姿の男性キャラクターのことですが、容姿と不幸な設定故に女性ファンの心を掴んだ人物が多く、当時、過去の作品とされてきた物(主にスーパーロボット物と思われる)の中では、主人公と対立する敵側にいて常にライバルであったとされています。
しかし、その当時は美形キャラにとって暗黒時代。2枚目が真剣になればなるほど視聴者にはギャグに写るという悪循環が災いしてお笑いキャラとして扱われていました。(特に顕著なのが「ZZ」のマシュマー。)
しかもここでは最近(当時)の美形キャラに威厳が無い知性と気品が感じられないとバッサリ。
美しい顔には高い知性と孤独な影がよく似合うと語っています。


脇役が主役になる時
ここでは海外のTV作品を例に上げ、番組のサブキャラや、ゲストキャラに人気が出て、そのキャラを主人公にした作品が作られる話を挙げています。
これは「スピンオフ」と呼ばれる手法で、あるシリーズから特定のキャラをピックアップして新シリーズを作ることだそうです。
当時、このようなアニメ作品は無かった(現在でも私の知る限りでは無い)のですが、当時進行中の企画として、「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統を主人公にした「デスラーズウォー(仮題)」があったとのこと。残念ながら企画だけで終わってしまったようですが・・・
アニメではありませんが、「聖闘士聖矢」の氷河が主人公の「氷の国のナターシャ(一話完結)」や、ガンダムAに連載されているシャアとハマーンが主人公の「若き彗星の肖像」が典型的なスピンオフ作品と言えるでしょう。


こんなサブキャラが好きだ。
大森英敏氏の当時のサブキャラ観がイラストと共に描かれていたのでついでに紹介。
顔は骨ばってて笑える顔がいい。
人並みはずれたスタミナを持ち、執拗に主人公を追い回して欲しい。
性格は極端に直情的かつ暴力的。
でっかい野心は持たず、目先の事しか考えられない。
死ぬ時は劇的に死んではいけない。いつの間にかいなくなっている。


これがサブキャラだ!思う・・・
地味な髪の色(茶・黒・青)、又はとんでもない色(パステルカラー系)になっている。
声をやっている人がいつの間にか変わっている。
勝気な性格の反面、妙に女らしい面を持っている。
忘れられる。
個性が無い。
1回(1カット・1シーン)だけしか出演しない。
他の作品に出演している。
変な奴だったりする。
妙に力を入れる作画(演出)の人がいる。
ギャグメーカーに変身する。
メインの回の冒頭にシャワーシーンがある事がある。
突然その回だけ恋人ができたりする。
いきなり不治の病を持っているという、とんでもない設定をつけられる。
話によっては主人公を食ってしまう。
昔何かあった時の思い出のペンダントを持っている。
なんとなく色気がある。
ムチャクチャな格好をしている。
個性的なものを持っている。(身に付けている)
最終回にはいなくなっている。
死んでしまう。


当時の読者アンケートハガキに見るサブキャラ像
当時の読者にとって、サブキャラクターと言う定義が今ひとつ分かりにくかったも知れないと書かれていますが、大きく分けて3つに分かれていたようです。
@美形キャラ
A極端に変わっている変人キャラ
B悪役キャラ

しかし、当時は美形キャラの人気が衰え、ストーリーが大勢のキャラクターを登場させる集団劇に移行した時代で、キャラクターや作品の人気が細分化するという現象が起きていると語り、「宇宙戦艦ヤマト」と「機動戦士ガンダム」をアニメファンを引っ張ってきた作品と位置づけ、それ以外にファンを引っ張ってきた作品が無い事がこの人気の細分化を生んだ原因としています。
事実、この当時の人気アニメは「タッチ」「うる星やつら」「ドラゴンボール」など漫画がアニメ化された作品が主流で、オリジナルのTVアニメ作品は今ひとつ伸び悩んでいました。
その事が、当時創刊間もなかった月刊ニュータイプで「ヒーロー不在」の危機感を語る記事が書かれる事にもなったと言えます。(いつだったかは忘れたけどほぼ同じ時期だったと思います。)
そして、OVA(オリジナルビデオアニメーション)が新しいジャンルとして確立し、玉石混合の体を成していた時代でもあったのです。

どういうキャラが当時人気を集めていたか?
アニメキャラの人気は当時の世相もある程度反映されていたようで、美形キャラやアクの強いキャラクターよりも人間臭い、日常の世界にもいる(かもしれない)人物が人気を呼んでいました。
ここで人気が高かったのが「めぞん一刻」の四谷さんと「ZZ」のエルピー・プルでした。
ちなみに私は当時ルー・ルカが好きでした。
リアル世界でも、かつては手の届かない存在だったアイドルがTV番組「夕焼けニャンニャン」のおにゃん子クラブのようなクラスメートの様なアイドルがもてはやされた時代でした。

余談ですが、夕焼けニャンニャンがはやった当時、「フォーカス」「フライデー」といった写真週刊誌も部数を急速に伸ばしていた時代で、愛人問題で散々追い回されたビートたけしが激怒してフライデーの編集部に、たけし軍団を率いて殴り込みをかけて逮捕され、そのニュース速報の字幕が夕焼けニュンニャンでとんねるずがギャグをやっているシーンで流されて、一時は「これもギャグか?」と疑ったものでした。
それでなくても「風雲!たけし城」「オレひょうきん族」「天才・たけしの元気が出るテレビ」など当時は、たけしの人気が絶頂期でビートたけしがレギュラーを勤める番組が多かっただけに当時の芸能界の動揺は大きく、明石屋さんまなどはカンカンに怒ってタケチャンマンの衣装を着せたマネキンやたけしに同情的な発言をしたディレクターを高台から投げ飛ばすと言う過激なコントをやっていました。