ドラゴンズヘブン 
小林誠が織り成す独特の世界

80年代後半当時の模型雑誌やSFコミックアンソロジーでは様々な形でSFロボット物が展開されていました。これもその一つをOVA化したもので、当時模型雑誌などで独特のデザインで人気を博していたモデラー・小林誠氏の原作が基になっています。
ちなみにヒロインのイクールは「戦え!イクサー1」で大ブレイクした平野俊弘氏が新たにデザインを起こしているというファンにはお得かもしれない一編で、BGMが非常に美しいので私的にお気に入りの一本です。(ちなみに30分)

この作品、機械生命体シャイアンとヒロインのイクールブラジル帝国との戦いを描いた物語で、敵方に小林誠版バウンド・ドッグやジ・Oなども登場したります。


冒頭、実写版シャイアンの起動シーンというサービスシーンの後、本編が始まります。
模型の大きさは170センチ(!)
(たぶん西暦)3194年から始まった人類VS機械生命体との戦争は人類の勝利で幕を閉じ、人類軍の機械生命体シャイアンはパイロットと共に母艦に回収される・・・・はずだったのですが、損傷を被ってしまい、破壊された空母の中で眠りにつきました。
1000年前の大戦争
そしてたまたま近くを通りかかったイクールの生命反応に反応して目覚めたときには1000年も時間が経っていました。
「スゴイ!こりゃ映画だわ!」
人間機械は電気羊の夢を見るか?
こうしてイクールと運命の出会いを果たしたシャイアンは彼女の暮らす城塞都市ケルトリアに身を寄せます。聞けばこの都市の住人は機械の製造技術は高いのにそれを使いこなせないらしく、イクールはそんな町の人々を護っているのだとか。
彼女の父も機械屋だったそうなのですが、元々住んでいた町がブラジル軍に滅ぼされてケルトリアに来るまでに死んでしまったとのこと。
天津甘栗はヤクより高価と思われ
町の人々もシャイアンには大いに期待を寄せているようで、天津甘栗(何故?)を彼にくれます。この時代には裏ルートでしか手に入らない超貴重品で、イクールの大好物だとか。

そこでシャイアンはある可能性に思い当たります。彼が生き延びていたという事は彼の敵も生き延びている可能性があるという事を。その敵の名はエルメダイン。写真を見せてもらったイクールも姿までは知りませんでしたが、同名の巨人がブラジル軍の戦闘参謀をしているとのこと。
この死体は何処で降ろしたのだろう?
シャイアンの話によると、パイロットは彼の左胸のコクピットに乗り込む事によって彼の心の一部となり、シャイアンの性能を100%以上引き出すのだとか。
1000年前の戦争の時にエルメダインにパイロットが乗った左胸を撃ち抜かれ、結果、彼は帰還を諦めざるを得なくなったようです。
・・・という事は彼が目覚めた時にはコクピットにはミイラ化したパイロットの死体が入っていたはずですが、イクールにコクピットの中を見せた時は中身は空でした。天津甘栗を貰った時についでに死体を降ろしたと思われ・・・それはまあ置いといて・・・イクールはシャイアンの分の天津甘栗も自分に回す事を条件に彼のパイロットになる事を引き受けます。

場面が変わってブラジル軍の攻撃を受けて陥落炎上するラスカタス城。参謀長は上機嫌でエルメダインに戦果を報告しますが、エルメダインは彼等の間近に潜んでいた敵の残党の戦車を撃破し、部下の油断ぶりにカンカンです。
「いいか!抵抗する者は全て殺せ!油断をするなと言ったろう!参謀長!」
陳謝する参謀長に目もくれず、歩み去るエルメダイン。
イクール曰く「シャイアンよりいい男」
その頃ケルトリアにもブラジル軍の魔の手が迫っていました。ブラジル軍の1部隊がケルトリア占領を目指して進軍していたのです。
この部隊を率いるオリオニスという男は 「あいつは領地に種を蒔かんで鉄を打ち込みおる!」と、エルメダインを快く思っていないようです。
「勝って帰る!」と意気揚々と戦車に乗り込み出撃するオリオニス。迎撃に出動するシャイアンとイクール。
さあ初陣よ〜!
シャイアン初乗りとは思えないイクールの見事な操縦の甲斐あってドムのようなホバー走行で戦車の砲撃をかわし、手にした銃で一撃!
瞬時に消滅する戦車隊。「竜の火だ!竜の火を使える奴がケルトリアにもいるのか!?」と仰天した残存部隊は泡を食って撤退します。
バスターランチャーだ!
報告を聞いたエルメダインはブラジル帝国に帰還し、彼の地下宮殿で彼の直属の配下のガンプ(バウンドドックに似たドロイド兵士)を起こし、シャイアンとの戦いに備えます。
スリムなバウンドドック
只今休憩中
一方のシャイアンもオリオニスとの戦闘で損傷してしまい、修理が終わるまでイクールのためにケルトリアの工場で装甲服を作ってもらいます。急ごしらえなのでデザインが今ひとつ気に入らず、不平満々のイクール。とにかくもシャイアンの竜の火を借り受けます。「イクールにお任せ!」
背中の緑のボールが力の秘密
大軍を率いて攻め寄せてきたエルメダインですが、竜の火の一撃であっという間に彼とガンプ隊以外は全滅。しかし、母艦から脱出したエルメダインはイクールの背後に忍び寄って一撃を食らわし、止めを刺そうと迫ります。しかし、彼女は竜の火のゼロ距離射撃という強硬手段に打って出ます。
イクール死す(ウソ)
修理を終え、戦場に駆けつけたシャイアンは装甲服が故障して動けなくなったイクールを発見!めでたしめでたしと思いきや、エルメダインは不死身でした。
「鉄屑に還れ!出来損ないの人間機械!」とシャイアンにしがみ付き機銃掃射を浴びせますが、シャイアンはびくともしません。
逆にシャイアンに腕をつかまれ、両肩のキャノン砲を突きつけられるエルメダイン。
さー覚悟しろ!
シ「これでもう逃げられまい!」
エ「うっ・・く・・ここで爆発を起こせばあの女も巻きぞえだぞ!」
シ「あの娘は運が強いんだ!こんな事じゃ大丈夫なんだ!」
エ「非科学的な意見をありがとう!」
発射ー!

そしてイクールのすぐそばでキャノン砲をぶっ放すシャイアン!
時間の都合で活躍できなかったまま大爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶガンプ。
うちら不死身やでー!
・・・シャイアンの言うとおり、でっかいクレーターができるほどの大爆発の中で無傷で生き延びていたイクール。でもシャイアンは死亡・・・と思いきやしっかり生きていました。
「千年生き延びたラッキーボーイだぜいっ!」
(アート・オブ・ドラゴンズヘブン収録のフィルムコミックより)

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