未来忍者 慶雲機忍外伝
雨宮慶太監督作品の和風SFアクション


未来忍者は1988年にアーケードゲームとして発表されると共にファンタスティック映画祭にも出品された当時のナムコの意欲作でもあります。
当時としては高水準のCG技術やSFXをふんだんに使用しており、また、雨宮慶太デザインの独特の雰囲気を漂わせた機忍など、そちら系のファンなら中々見ごたえのある内容となっていますおり、個人的にはお気に入りの一本です。
「慶雲機忍外伝」としたのはゲーム方がが本伝で映画の方が外伝という本来はゲーム会社であるナムコの方針でしょうか?

あらすじはサイボーグ忍者軍団・機忍を擁して周辺諸国を侵略を開始した黒鷺氏に対抗する諏訪部家の当主、サキ姫(森下恵理)を助け出すべく、抜け忍の不怒火(横山誠)、雇われ剣士の赤城(河井半兵衛)、そして次郎丸(井田弘樹)を始めとした選抜された5人の家臣が黒鷺の要塞に乗り込むと言うわりとありがちなストーリーです。


冒頭、字幕で簡単なあらすじが紹介された後、黒鷺軍と諏訪部軍の合戦が始まります。
黒鷺軍は館戦車、神社ウォーカー、機忍で構成された堂々たる機械化軍団です。

対する諏訪部軍は4連装砲を装備した移動城壁と少数の鉄砲隊、残りは全部刀一本しか持っていない歩兵・・・旧態依然としています。今まで戦線を維持できていたのが不思議なくらいの貧弱ぶりです。
さあ決戦だ!
わ〜わ〜
案の定一方的に壊滅させられる諏訪部軍。一人景気良く機忍を斬りまくって奮闘していた諏訪部最強の剣士飛勇鶴(伊藤聡)も遂に倒れてしまいます。
あうっ!
兄ちゃ〜ん!
飛勇鶴の弟・次郎丸が兄の残した刀を手に号泣してから3年後・・・
森の中を駆け抜け、追っ手の下忍を瞬く間に蹴散らした抜け忍・不怒火。直後に現れた傭兵・赤城や次郎丸達との戦いを避け、速攻で去っていきます。
オレが殺ったことにしろよ
同じ頃、黒鷺氏の本拠・奇械ヶ城では当主・黒鷺(江森正明)の復活を明日に控え、雷鳴法師(山本昌平)が侍大将・橡伎(吉田瑞穂)に記憶を取り戻した不怒火が自分の肉体を取り戻しに乗り込んでくるかもしれないからそれに備えろと命じます。百足丸片目を従え、それに備える橡伎
お任せあれ!
一方の諏訪部軍では、重臣梶原(牧冬吉)の指揮の元、機動砲なる巨砲を完成させ、奇械ヶ城への攻撃準備を着々と進めていました。完成したならさっさとぶっ放せと言う赤城に対し、紙の上の算術だけではダメだと老人らしい慎重さで応じる梶原。そこに凶報がもたらされます。なんと本陣から視察に来る途中のサキ姫が黒鷺の手の者に誘拐されたとのこと。
諏訪部の決戦兵器
意外とドジなお姫様
その直後襲撃してきた空飛ぶ屋根・気門。しかもサキ姫が人質として乗せられているではありませんか!応戦する事もできず、一方的に空爆される諏訪部軍。大爆発を起す砲弾庫。泣き崩れる梶原。勝ち誇ったように去っていく気門。
これで残りは後1発・・・
泣きじゃくる梶原を見かねたのか、赤城は金貨50枚の報酬と気合度80以上の兵士5人を借りる事を条件にサキ姫の救出を買って出ます。
早速始められる随員の選抜。どうやって選ぶかと言うと、兵士が「ウオーッ!」と気合を入れたら彼等が常時身につけている気合度計に気合度が表示されるので、80以上あったら合格というもの。4人まで揃ったものの、肝心の次郎丸は不合格・・・連れて行けと詰め寄る次郎丸他数人を殴り倒す赤城。その瞬間、次郎丸の気合度が99に!これで5人目決定です。早速鎧に身を固め、出発する6人。
これで文句は無いだろう!
赤城達の作戦は地下迷宮を抜け、気門を奪取して一気に城に乗り込むというもの。作戦準備の最中、赤城は次郎丸が国一番の剣士飛勇鶴の弟で、彼の持っている十字剣は兄の形見だと知ります。
和風ビックリ兵器
いよいよ地下迷宮に乗り込む一行。この迷宮、頭上に怪しい漢字を発射する燈篭が幾つも浮かんでおり、侵入者が真下に来ると自動的に攻撃をするようになっているようです。早速引っかかる一行。
目立ちすぎのトラップ
当たると文字が浮かびます
迎え撃つ機忍に封印砲で応戦する一行。まず封の弾を撃って相手の動きを封じ、続いて印の弾で止めを刺すというもの。諏訪部軍はこれのおかげで3年もの間辛うじて持ちこたえていたようです。
バスタードでもパクってました
赤城と次郎丸の十字剣は敵を突き刺して気合を入れることによって相手を破壊する武器のようですが、あらかじめ柄に弾丸のような物を装填する必要があるようです。
第1関門でほぼ全滅・・・
しかし、稲荷率いる機忍軍団に次々と倒される兵士達。次郎丸も稲荷にはまるで歯が立たず、あわやという所まで追い詰められますが、そこを先に忍び込んでいた不怒火に助けられます。
新手の気配を察知してとりあえず物陰に身を潜める3人。そこで赤城は何かに気がつきます
ま・さ・か・・・
様子を見に来た橡伎達は不知火達が潜んでいるとは露知らず、気門の渡し場で不知火を待ち伏せする作戦の打ち合わせをして去って行きます。
結構てこずりました
待ち伏せと言いながら堂々と陣を敷いて待ち構える橡伎の部隊に正面から突っ込む3人。瞬く間に下忍を蹴散らしますが、橡伎は強敵でした。追い詰められる不怒火。しかし、辛うじて百足丸を倒した次郎丸の援護もあってどうにか橡伎に勝利します。赤城も片目を倒し、先を急ぐ3人。
よーこそ!我が城へ!
気門を奪って奇械ヶ城へ乗り込み、天守最上階・雷鳴の間にたどり着く3人。そこには雷鳴法師、側近の、そして囚われのサキ姫の姿が!
早速体を返すよう詰め寄る不知火。ここには無いと言ってシラを切る雷鳴法師を押しのけて体が隠されている神木を斬りますが、そこには変わり果てた彼の体が・・・既に彼の肉体は黒鷺の復活のために奇械ヶ城に養分を吸い取られてしまっていたのです!
「これが・・・私の体か!?」
「そうだよ〜ん」
「ちょっと!私もああなるの?」
「そうだよ〜ん」

物語の前半で語られていたのですが、黒鷺復活には日食の日に生贄の肉体を捧げる事が必要で、それが人間だった頃の不怒火の肉体とサキ姫だそうです。が、黒鷺が望んでいたのは肉体のみで、雷鳴法師が言い訳がましく最強の機忍を献上すると言っていたのは彼の個人的道楽が過ぎた結果だそうです。
おそらくはある程度の完成を見た機忍の研究を更に進化させるためのプロトタイプとして不怒火を造り出したのでしょう。

戦闘に入る一同。二刀流で不怒火に挑む翁。下忍達を蹴散らす赤城と次郎丸。そして悲劇は起こりました。隙を突かれて雷鳴法師に後ろを取られた次郎丸が倒されてしまったのです!
余談ですがこの雷鳴法師、右手の指先が蛇だか竜だかの頭のようになっています。勿論雨宮慶太デザインです。

「次郎丸ー!」翁を倒し、次郎丸に駆け寄る不怒火。名乗った覚えがないのに自分の名前を知っていることにいぶかる次郎丸でしたが、彼の剣の形が亡き兄飛勇鶴と酷似していた事から不怒火の正体が変わり果てた兄だと気付き「兄上・・・」と呼び掛けて息絶える次郎丸。
あ、兄貴〜・・・
激怒して体中をスパークさせ、雷鳴法師に襲いかかる不怒火。最後の下忍が倒されたと同時に赤城に襲いかかる姥。彼の武器は両手の鋭い爪です。
コンニャローッ!
怒り狂う不怒火に人間に戻してやるから再び自分と手を組まないかと持ちかける雷鳴法師。おそらくは次郎丸の体に不怒火=飛勇鶴の脳を移し変える方法だと思われ・・・・
しかし、不怒火に今更甘い言葉は通用しませんでした。刀に貫かれ、「ワシを殺めると2度と人には戻れんわ・・・!」と捨て台詞を残して枯死する雷鳴法師。
私って凄いでしょ!?
赤城も姥を倒し、サキ姫の戒めを解きましたがその直後、倒したと思った姥が起き上がり、背後からこっそり忍び寄ってきたところをサキ姫に助けられます。
「大義じゃ!」

次郎丸の亡骸を抱え、城から脱出しようとしたその時、スクリーンに黒鷺の姿が浮かび、「おのれ等!神聖なるこの時をよくも掻き乱しおったなー!」と怒鳴り、重傷を負いながらも後を追って来たらしい橡伎の体に乗り移り、3人に襲いかかります。
これで最後だー!
怪しいオーラを噴出し、圧倒的な力を振るうゾンビ橡伎大苦戦しながらも連携攻撃で辛うじて勝利する不怒火と赤城。制御を失い、暴走を始めた奇械ヶ城から脱出する3人。発射される機動砲。その砲弾は見事に奇械ヶ城を直撃しました。サキ姫の無事を確認し、歓喜の声に震える諏訪部軍。
ビックリ大魔城の最期
しかし、ここに至るまでに多くの忠義の士を死なせてしまったサキ姫の心は晴れません。そして不知火=飛勇鶴の弟・次郎丸を死なせてしまった赤城の心も・・・。そして死んだ次郎丸の魂が兄を求めてあの世で彷徨っているかもしれないと・・・
さらば諏訪部よ
「いや!そのような事は決してない!」という不怒火の言葉に全てを察し、次郎丸の愛刀を手渡す赤城。そしてサキ姫に一礼して去っていく不怒火。
遅まきながら彼の正体に気付き、赤城に質そうとするサキ姫でしたが、赤城は一言「ま、いいじゃねえかい。」
待て続編(ウソ)



ついでだからおまけ
たぶん深夜放送か何かだったかと思いますが、小林大作の司会とゲストでミスターファンタスティックと呼ばれる小松沢陽一ので「シネマ大好き特別企画」と号してファンタスティック映画祭出品作品の紹介をした番組が録画してあった(というか改めて見るまですっかり忘れていました。)のでついでに紹介します。
オープニング作品で未来忍者を紹介しており、小松沢氏がベタ褒めしています。
どうもゴールデンウィーク特別企画で9作品を連日放映すると言う趣向のようで、そのオープニングで未来忍者か紹介されていました。
いつの放送だ?これ?
どういう風に書かれていたかと言うと・・・
これはこれで名誉だよね
第2回ファンタスティック作品は、88東京ファンタで大喝采を浴びた「未来忍者だ」だ!パックマン、ゼビウスで知られるゲームソフト会社(ナムコ)が初めて映画制作に取り組んだアクションSF。ビデオゲーム感覚のストーリー展開やキャラクター、SFXの使い方など低予算B級ながら魅せてくれる。(中略)姫奪回のありふれた物語に注文を付けたいところだが、神社ウォーカー、気合度計といった着想の独創性、編集技術によるスピード表現には驚嘆させられる。莫大な制作費をかけるだけで欧米のモノマネしかできない日本映画群にあってセンスの良さが光る。

ちなみに別の雑誌で読んだ事ですが、低予算といっても一番金がかかるのはやはり人件費だそうです。出演者へのギャラは勿論、エキストラやスタッフの交通費や弁当代なども含まれており、もっと少ない予算で同じクオリティの映画を作って見せると放言する素人にモノ申す内容となっていました。

で、他の8作品が何かと言うと・・・・

ティーン・ウルフ
ファントム・オブ・パラダイス
ガンダーラ(何故かこれだけアニメ)
サンダ対ガイラ(東宝映画だけど有名でマイナー)
悪魔の毒毒ハイスクール(毒毒モンスターシリーズの何作目か)
モンスター・イン・クローゼット
九龍の狼(香港映画その1)
関心楽園(香港映画その2)
XYZマーダーズ


さすが深夜放送。多くがゴールデンタイムには放映できないような映画ばかりです。

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