ミネルバの放ったタンホイザーをすんでのところでかわしたアークエンジェルですが、さすがに無傷とはいかず、かなりの損害を被ってしまいます。しかし、これは逃げ切る大チャンス。
マリューは損傷したエンジンを切り離して自爆させるという荒業でその場をしのぐ事に成功します。まんまと騙されるミネルバの面々。
しかしキラは死亡・・・と思いきや、彼は不死身でした。フリーダムのコクピットに浸水し、意識を失いながらもエマージェンシーを発信し、救助に出たカガリを導く事に成功します。
アークエンジェルにまんまと逃げられたとは知らず、早速残骸の捜索に当たるウィラード隊。流石に浮遊物が少ない事に不審を抱き、捜索範囲を広げますが、とりあえず無駄働きをしている彼等にはゴクローサンと言ってあげましょう。
で、フリーダムを撃破したのは大金星ですが、肝心のキラを殺し損なったとは露知らずにクルー達に拍手喝采で迎えられるシン。
目ざとくアスランを見つけ、自慢気に彼の親友を殺したことを報告しますが、それがアスランの抑えていた怒りに火をつけてしまいました。案の定ぶん殴られるシン。
甘いぞアスラン!いっそ殺せ!
「あんたの親友は俺の手でぶっ殺してあげましたよ!」「プチッ」
「キラの仇!これでも喰らえ!」
「カガリ直伝のぉ・・・アスハ百裂拳!」ドカカカカカカカカカカ!「ぽげぶべぺぶちゃべ!」
大乱闘が始まりそうになるところを慌てて止めに入る一同。
しかし彼等にはアスランが怒り狂う理由が理解できるわけがありません。アスラン以外のクルー達にとってはアークエンジェルは何度も煮え湯を飲され続けてきた憎い敵。実際にフリーダムの攻撃が原因でクルーにも大勢の死者が出ているのです。
レイに正論で諭されて引き下がらざるを得ないアスラン。
彼の怒りを理解できる者は彼自身を除いて一人もいません。ミネルバのクルー達はザフトであり、アスランはザフトであってザフトではない存在なのだから・・・
シンとの溝が決定的になり、更に孤立感を深めるアスラン。
その頃、ジブラルタル基地には来るべき大決戦に備えて続々とザフト軍が集結し、またザフト宇宙ステーションでも地上軍を支援するべく準備を進めていました。
しかし、そんな中でも声がシャアのギルバートの声明に戸惑う者は少なくなく、ザフトの暴れん坊・イザークも苛立ちを隠せません。イライラついでに、たまたま近くにいた対ロゴス戦争をロゴス傘下の企業の製品の不買運動程度にしか認識していない黒服を怒鳴りつけるイザーク。
「笑い事ではないわ!実際大変な事だぞ、これは!ただ連合と戦うより遥かに!少しは自分でも考えろ!その頭はただの飾りか!?フンッ!!」
彼やディアッカもアスランやアークエンジェル一党と認識は同じのようです。彼等も親が評議員だった関係で、他の軍人達以上に広い視野で物事を考える事が出来るのでしょう。何にせよ彼の副官役のディアッカも大変です。イザークはおそらく普段からこんな調子であちこちに敵を作っているでしょうから。
これでニコルが健在でアスランもいたら、なだめたり、とりなしたりする役は彼等に任せて自分はイザークに便乗してエロ本を読みながら茶々を入れていればよかったのですが、今は歩く活火山の副官として気苦労の絶えない毎日です。
最もその事が彼を人間的に成長させている要因にもなっているのでしょう。
その頃、ギルバートの演説が流れる中、武装蜂起した民衆が各地のロゴスメンバーの
屋敷を襲撃していました。
コーディネーターとナチュラルは分かり合えないと誰が何故言い出したのか?と問いかけるギルバート。演説の最中にロドニアのラボで入手した写真や資料を公開してロゴスの邪悪性を強く訴えます。
しかし、それは所詮自分のやろうとしている事を正当化するためにロゴスを悪役に仕立てているに過ぎません。
確かにロゴス=ブルーコスモスの行為は到底許される物ではありません。
しかし、ギルバートが真の意味で政治家であるならロドニアで入手した資料やジブリールの暴走をネタに地球連合の各国の政府やロゴス相手に有利な条件を引き出すために交渉するという選択肢もあるはずです。
「あんなハゲ茶瓶が悪い事して儲けた金で若い愛人を囲っているのです!こんなことが許されていいのでしょうか!?」
「デュランダルの言うとおりだ〜!ヌッ殺せ〜!」ががががが!ばきゅーんばきゅーん!
「くっそ〜愛人の一人や二人で大騒ぎしやがって〜!」
彼が本当に平和を求めているなら世界中に向けて「ロゴスを倒せ!」などと叫ぶのはむしろ愚行です。
実際に武装蜂起した民衆はステラ大魔神の攻撃で辛うじて生き残った人々や何らかの形でロゴスや地球連合軍に恨みを持つ人々なのでしょう。ギルバートはそうした人々に武装蜂起の大義名分を与えた事になります。
自らが行おうとしている事を正当化させるために・・・
そしてジブリールの屋敷にも民衆が押し寄せていました。ロゴスメンバー達のあげる悲痛な悲鳴を尻目にモニタールームから一目散に逃げ出すジブリール。
アークエンジェルの医務室ではフリーダムを失ってズシ〜ンと落ち込んでいるキラをカガリが励ましていました。カガリが食事を持ってきたのはともかく、ミリアリアがカメラを持っているのはキラの落ち込んでいる姿というレアなシーンを撮るためでしょうか??
そこを「ざまーみろ」と隣でメシを食っていたネオにからかわれてしまいます。
本来なら独房に放り込まれているはずなのですが、マリューの計らいか、まだ傷が治りきっていないのか、警備兵2人に見張られ、両腕を拘束されているとはいえ実にいいご身分です。
「やーいやーい!負けてやんの〜」
「キラ君をいじめたら簀巻きにして海に棄てるわよ〜!」「ゴメンナサイ・・・」
そこにキラを見舞いにやってくるマリュー。捕虜であるネオのすぐ傍でアークエンジェルの今後の予定(ザフトに見つからないようにこっそりオーブに帰還する)を語ります。ネオが大人しくしているからまだ良いものの、一応機密事項のはずなのですが・・・
プラントではギルバートが自ら地球に下りるべく、ミー・・・ラクスを伴ってシャトルに乗り込もうとしていました。懸念を示す評議員に「自分だけ安全な後方にいるわけにはいかない。」みたいな事を言って留まるようにという進言を退けるギルバート。
自らが煽っておきながら「人の力は凄い物だね」とことさら軽口交じりで感心して見せたりします。これも事が自分に有利に運んでいる事で彼にもゆとりが出来てきたのでしょうか?
しかし、アークエンジェルの撃沈が確認できなかったというウィラード隊の報告に一抹の懸念を隠せないようです。
そしていまだ発見できないラクス一党の動向も・・・
そうこうしている間にもミネルバは念願のジブラルタル基地に到着していました。盛大な出迎えを受け、上機嫌のアーサー。
しかし、タリアの気は晴れません。
「剣を取らせるには何よりその大義が重要である」という昔講習で習った教官の教えた言葉を引用して現状を評するタリア。
ギルバートに疑念を抱きつつも軍人としてその大義のために戦わねばならないという今の自分の立場、そしてザフト軍のおかれている現状を皮肉な視点で見ているようです。
そして入港を果たしてほっとしたのもつかの間、シンとアスランに出頭命令が出ます。一触即発の気まずい雰囲気の中、ギルバートの前に参上した二人に禍々しいBGMをバックに彼が見せたものは・・・
ZGMF−X42S ディスティニー!
ZGMF−X666S レジェンド!
従来機をはるかに上回る性能を持つという機体に嬉しそうなシン。その機体が動力に何を搭載しているかを悟り、顔を引きつらせるアスラン。これから自分と、そして世界が待ち受ける運命がどうのような物かを知る由も無く無邪気に目を輝かせるシン。
「わーいわーい!」
「くそう!おめでたい奴め!」
シンが知る由もありません。この機体が連合の邪神・デストロイと同じ穴のムジナであるということに・・・
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