第4章 地獄の帝国、パーシオン


レビルレントへの宣戦布告から始まったバルディス星系の紛争もいよいよ大詰め。
ヤングリーフ軍もオーブリクの従星アンカロンを陥落させてオーブリク侵攻の橋頭堡を確保し、ケンヘイベンとクルツとの連携も可能となりました。しかしオーブリク軍もしぶとい戦いぶりを見せ、これまで2カ国軍を相手に大奮戦しています。

それにアンカロンからオーブリクの主星ジオイアまではまだかなりの距離があり、ヤングリーフ軍は新たな拠点の確保の必要に迫られます。ヤングリーフの主星レイオスでは対オーブリク戦争をどう戦うかと言う御前会議が開かれます。そこでクレアは夜も寝ないで考え出した一大作戦を披露します。
「ええか!この戦争はなんとしても勝たなあかん!そのためにはケンヘイベンとクルツとの連携が欠かせへん!その為にワシは徹夜を重ねて一発逆転の大作戦を考えた!どや?聞いてみたいか?聞いて見たいやろ!?」

クレアが徹夜を重ねて考え出した大作戦・・・こう聞くだけで不審と不安に苛まされる提督たちでしたが相手はなんと言っても彼等の主君です。何とかやんわりと却下する方法を考えつつ、クレアの説明に聞き入ります。

「ええか〜名付けて四路大侵攻作戦!その名も『春のハリケーンカトリーナ』!!」
不謹慎な作戦名ですが内容はこうです
意外とまっとう 

まずアンカロンから出撃したヤングリーフ艦隊は要塞を排除し、オーブリク従星ティグルの占領を目指します。反対側に位置するモトスレイはクルツ軍が制圧するであろうから既にケンヘイベンが占領している二路を入れて3国が4つの回廊から合計18個艦隊で進路上に立ちはだかるオーブリクの従星クレティと要塞2つを抜いて、一路オーブリクの主星ジオイアの陥落を目指すと言うもの。

予想に反して意外とまっとうな作戦に感心の声を上げる提督達。普段の行動と言動が常軌を逸しているだけにそのギャップに戸惑いを隠せません。何がともあれこの作戦を採用することに決定し、早速行動に移ります。

ケンヘイベン軍とオーブリク軍が激戦を繰り広げる中、進路上の敵要塞を抜いてティグルに迫るヤングリーフ軍。

「ふふふふふ・・・いよいよや〜態勢が整ったらワイが自ら陣頭に立ってジオイア上陸作戦の指揮を採ったるでぇ〜!上陸作戦ではワシ自ら陸戦隊の先頭に立ってオーブリク王宮に突入したるんじゃ〜!」と側近達が顔面蒼白になるようなとんでもない事を言い出すクレア。

しかしそれは実現することはありませんでした。
これで戦争は終わった!
なんとケンヘイベン軍がクレアの予想を遙かに上回る目覚しい進撃振りを見せ、一挙にオーブリクの主星ジオイアを陥落させたのです!ケンヘイベン軍からの報せを受け、歓声に包まれるヤングリーフ軍司令部。しかしクレアは一人不満顔です。
「なんやあっけないのう・・・折角オーブリクの王宮にワイが徹夜で作った手製の旗を立てて記念写真撮ろう思うとったのに・・・」とブツクサ文句を言いながら畳20畳分はあろうかという巨大な手製の旗を広げるクレア。旗の中ではヤングリーフの国章を背にした極端に美化されたクレアの似顔絵が爽やかな笑みをたたえています。

(国の恥を晒さずに済んで良かった・・・)と心の中で呟きつつ、さも残念そうにクレアに慰めの言葉をかける側近達。

何がともあれ国内にこの朗報を報じなければなりません。これで戦争は終わった!と確信し、喜びに包まれる国内。王宮に押し寄せる提灯行列。ビールをかけ合う軍人達。各国大使を招待して催される盛大な戦勝祝賀会。しかしここで炸裂するはずのクレアのマシンガントークがまるで聞こえてきません。怪訝に思った列席の高官達や大使達がクレアの方を見やると会場の隅で手酌でワインをがぶ飲みしながら何やら呟いています。

「ブツブツ・・・せっかく徹夜で絶対成功する作戦考えたのに・・・ブツブツ・・・せっかく夜なべして手製の旗を一生懸命作ったのに・・・ブツブツ・・・」
どうやら自分の(しなくてもいい余計な)努力がフイになったことで相当不満がくすぶっているようです。

「陛下もあれさえ無ければ・・・」と顔を見合わせ、溜息をつく高官達。今回の一連の紛争を収束させただけでも一国の元首として特筆に価する偉業なのですが、クレアの努力の動機が不純且つ小市民的なだけにフォローする高官達も気苦労が絶えません。もっともヘタな野望を持って「銀河系征服や〜」などと言い出さないだけ遙かにましなのですが・・・

しかしそこは一国の元首。宴もたけなわとなり、TVカメラの目の前でバルディス星系全域に向けて声明を読み上げる段になると、それなりに威厳のある態度で声明を読み上げます。
「え〜我が親愛なるヤングリーフ国民の皆さん、ならびに今回の扮装の鎮定に協力してくださった同盟諸国の元首諸卿ならびに国民の皆様(長いので省略)これからはバルディス星系の平和と安定を守るため一致協力して歩んで行きたいと願うこと切でありますっ!」

再び歓声に包まれる会場。其処に現れ、祝辞を述べるモリス=ゴードン。彼の得た情報に寄ればランパートとミケーネは作戦の失敗を悟ってバルディスから手を引き、モリス以外に14人いるというシーブズオブナレジの光の戦士も1人を除き、全員ヤングリーフに到着したのだとか。

その一人とは元ミケーネの情報管理局参事・リンシア=マークライトという女性との事。ちなみにゲームのパッケージの裏に出ている女性で、ゲーム進行中に何回か流れるムービーの中での語り部も彼女です。

何がともあれこれでメデタシメデタシと思いきや、異変は起こりました。バウストクルツ閉鎖要塞FSW/オクリオルの監視艇から緊急報告が入り、要塞に異変が起こったと知らせてきたのです!監視艇から送られてきた映像にビックリ仰天のクレア。
何が起こったぁ!?
「な、何や何や?何が起こったんや!?まさかあれ爆発するんちゃうやろな?このレイオスは要塞の近所にあるんやで!そんな事なったらここかてタダじゃすまへんで!」
爆発したら巻き添えは必至
今までに無い事態にすっかりパニックになっているクレアを尻目に数機の無人探査機を要塞に送り込む監視員。要塞の奥深くまで侵入した無人探査機は驚くべき映像を送ってきます。なんと要塞の中に銀河系の力関係を転覆させかねないパーシャルライブラリが収まっていたのです!

しかし異変はそれだけでは収まりませんでした。全ての閉塞要塞が封印宙域の内部にに吸い込まれていき、その中心部に今まで見たこともないような異様な物体が現れたのです!その周囲に今まで封印国が守っていた閉塞要塞がその物体を守るかのように周りを囲んでいます。
なんじゃこりゃあ?
あまりの事態に呆然と見守っていると当の謎の物体から通信が入ってきます。通信の主は自称パーシオン帝国皇帝・エグザシオ=グラフツゥラー

「・・・誰やそれ?」
と問う間もなく、モニターに一人の偉そうな青年の姿が映し出されます。彼こそ前作シュヴァルツシルトVの主人公、ガーディナル星域のパーシオン共和国首相・エグザス=グラフトその人だったのです!Vはプレイしてないのでよく分かりませんが。

彼は本来黙ってバルディス星系から去っていくつもりだったようですが、彼にとっても想定の範囲外の異変によってその存在が露に鳴ってしまったとの事。しかも彼は光の戦士の一人にもかかわらず、八強国に対抗するために恐怖の生体兵器・クラーリンと異生戦艦・ブミーを手に入れたというではありませんか!

しかもモリスからクレアこそが彼等光の戦士が仕えるべき光の真王だと聞かされた彼はとんでもない事を言い出します。クレアがまだ光の真王として覚醒していないのをいい事に散々屁理屈を並べ立てた挙句、自分に勝ったらクレアを光の真王として認めてやろうと言って宣戦布告してきます。同時に主星レイオスに向けて進撃を開始するパーシオン艦隊。
最後の敵
「え、え、えらいこっちゃえらいこっちゃ!レイオスは丸裸同然やないかい!パンツ一丁じゃ戦争はできへんのじゃ!すぐに防御衛星と軌道砲を増設せいや!オーブリクに進駐している艦隊も全軍呼び戻せ!それと同盟国にも援軍を要請するんや!急がへんと手遅れになるでぇ!」

慌てふためきながらもすっかりいつもの調子に戻ったクレアは全軍をレイオスに集結させ、第1〜第3艦隊を対艦隊戦用の編成にし、残りの3個艦隊をマグニ級対地攻撃艦を主力とした要塞攻略用の編成に改めます。
全ての同盟国もパーシオンの出現を受け、全軍を挙げてパーシオンの主星デスペランに向けて進軍を開始します。

こうして紛争が終わって平和が訪れたかに見えたバルディス星系は突如として現れた闖入者、パーシオン帝国と生き残りをかけた最終決戦に突入します。



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第3章 おいでませレイオス
第5章 真王覚醒
簡単にここまでの攻略
オーブリクの主星ジオイアは守り易く攻め難い天然の要害であり、しかも艦隊を矢継ぎ早に繰り出してくるので数に物を言わせて攻め寄せるしかありません。自軍だけで星を占領せずに他国の軍をうまく導くことも大切です。

パーシオン帝国の艦隊は他の星には目もくれず一直線にヤングリーフの主星レイオスを目指して進軍して来ますが、主星デスペランに向けて艦隊を進撃させればそちらを迎撃しようと動くのでうまく足止めしましょう。言うまで無く講和は不可能です。