PHASE−19 「見えない真実」

ガルナハン要塞攻略戦という、ある意味後味の悪い戦いに勝利したミネルバは黒海沿岸・ディオキアにあるザフト軍基地に入港を果たします。海だの基地だの山の中だの、ろくでもない場所でろくでもないバトルを繰り返してきたクルー達にとって、ディオキアの美しい街並は実際以上に美しく見えているようです。アスランやシンも憑き物が取れたようなボンヤリした顔でその光景を眺めています。
ここは平和でいいね〜
「ね〜デートしましょうよ〜」
「ぶひ〜ぶひ〜」
頼もしい姉御と、その少し頼りない弟
という絵がピッタリマッチするタリアとアーサーの二人がタラップを降りて見ると、基地のザフト兵たちがなにやら大騒ぎをしています。しかも兵士のみならず、地元の住民達も金網越しに大はしゃぎで基地内を覗いています。いぶかしがる二人の目の前に現れた物、それは・・・・
プラモはいつ出るんだ?
・・・チャンチャカチャンチャカチャンチャカチャンチャカチャンチャカチャンチャカ・・・・・・
知らないって事は幸せだね

(お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛)
みなさーん!ミーア・キャンベルでーす!
「みなさぁーん!ラクス・クラインでぇーす!」
突如画面に現れたミー・・・ラクスに大はしゃぎのディーノ達。
ボークスの店頭で見た広告に載っていたミー・・・ラクス専用ザクに乗っての登場です。
お、俺はヤクをやめたはずなのに・・・
ザフト兵達にとっては正に夢のような光景ですが、事情を知るアスランにとってはヤク中の白昼夢にも等しい光景です。

そして声がシャアのギルバートもディオキアに降り立ちます。私的には「あーあーあー・・・あんじょう頼むで〜」変な関西弁を喋っていた随員の方が気になるのですが・・・
誰なんでしょうね?
ミー・・・ラクスのコンサートをバックに現れるタイトルロゴ
PHASE−19 「見えない真実」
ザフトって遊園地みたいだね
ギルバートが立てたにせラクスという虚構の存在を象徴するかのような演出です。そんな真実を知らぬまま熱狂的に声援を送るザフト兵達。
やっと俺の出番が来たか・・・
そして、お供のディンと共にミー・・・ラクスのザクを抱えて降りてきて、ミー・・・ラクスに冷ややかな視線を送る今までオープニング以外に出番の無かったハイネ・ヴェステンフルス
しずかなぁ〜♪(ヘイ!)

このよるにぃ〜♪(ヘイ!)

あなたをぉ〜まぁってるのぉ〜♪(ヘイ!)
「俺マユの方がいいな〜・・・」
あのときぃ〜♪(ヘイ!)わすれたぁ〜♪ (ヘイ!)
「俺がザクを動かしてるのさ〜♪」
ほほえみをぉ〜♪(ヘイ!)とりにきてぇ〜♪(ヘイ!)
「ラクス変わったな〜・・・」
あれからぁ〜すこしだけぇ〜じかんがすぎてぇ〜♪
(ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!)

おもいでがぁ〜やさしくぅ〜なぁったねぇ〜♪
(ラクスゥー!)

ほぉしのぉ〜ふるばしょでぇ〜あなたがぁ〜わぁらぁっていることをい〜つもぉ〜ねがぁってたぁ〜♪
いまとぉくてぇもぉ〜♪

(エルオーブイイーラークス!)

またあえるぅ〜からぁ〜♪

ミネルバのクルー達も我先に艦を降りてミー・・・ラクスのコンサートに駆けつけます。そんな中、左右にメイリンとルナマリアを従えながらポカーンと悪夢のようなアホな光景を見つめるアスランにアプローチをかけるルナマリア。姉よりデブのメイリンも密かにアスランに目をつけていただけに心穏やかではありません。
アスランのハートは誰のもの?
誰かが誤ってぶつかったのを利用してさりげなくアスランに抱きつくメイリン。
「ここは危ないな」といいつつさりげなくメイリンの腰に手を回してその場から離れるアスラン。
今ここにアスランをめぐっての姉妹間戦争が勃発したのです!
ザラ隊長は手が早いな〜
そんな彼等のドロドロし始めた人間関係に気づく由も無く、「いいんですか?見ないで?」とあさっての方向に気を使う妹(故人)以外に興味の無い主人公、シン・アスカ
あんなヒゲ面の男のどこがいいの?
タリアも冷ややかにミー・・・ラクスのコンサートを見つめていましたが、少し離れた所でギルバートがディオキアの市長らしき人物と握手をしている所を見かけます。ギルバートもタリアに気づき、さりげなく挨拶を送ります。愛人に対する配慮を欠かさないところは流石です。
「わーいわーい!」「アーサー、貴方悩みなんて無いんでしょうね・・・」
「はい?」「なんでもないわよ・・・」
どうやら、フェイスのメンバーとタリアはあのラクスがニセモノという事実を知っているようです。そしてタリアはそんなギルバートのやり方に少なからず疑問と苛立ちを感じているようです。勿論頼りない弟役のアーサーにそんな姉御の心境は知る由もありません。
「いやぁ〜・・・ホントにこれは運がいい!」
アーサー・・・・私はマジで君が羨ましいよ・・・・

「ありがとぉー!私もこうして皆様にお会いできて、本当にうれしいですわー!」
(ウ゛ワ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!)
ウ●ーリーを探せ
「勇敢なるザフト軍兵士のみなさーん!平和のために本当にアリガトー!そして、ディオキアの町のみなさーん!一日も早く戦争が終わるのを、私も切に願ってやみませーん!その日のために皆でこれからも頑張っていきまショー!」
(ウ゛ワ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!)
そんなミー・・・ラクスに疑惑に満ちたまなざしを向けながらシャッターを切るミリアリア。そしてミー・・・ラクスにタリア以上に冷ややかな視線を送る3凶人。
そんな彼等の感想は・・・
スティング「やれやれだな・・・・」
アウル「ほーんと、なんか楽しそうジャン、ザフトは」
ステラ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あんな奴等に負けられねえ・・・ステラ、聞いてるか?
彼等にとっては世界の行く末云々はどうでもいい事。要は殺れるか殺られるかなのです。だからたとえミネルバと互角に戦えても彼等を殺せなければそれは敗北に等しいのです。
そんなスティングとアウルのやり取りをよそに、海を見て大はしゃぎのステラ。
「俺たちファントムペインに負けは許されねえ・・・」

そしてギルバートにあてがわれた宿舎で再会を果たすギルバートとタリア。そしてレイ。
「レイ〜会いたかったよ〜」
「ギル・・・」
「ギル・・・」
「ギ〜ル〜!」「はっはっはっは!可愛いなあ君は!」
スリスリ・・・「いいなあ・・・」
レイ・ザ・バレル・・・今までのクールなイメージがぶち壊しです。
タリア、ちょっと羨ましそうです。

タリアとレイの他に、アスラン、シン、ルナマリアも招待してお茶会としゃれ込む一同。
互いに挨拶を交わすギルバートとアスラン達。
超問題児のシンもギルバートに「君の事は(たぶん悪い意味で)良く覚えているよ」と言われ、流石に赤面しますが、叙勲の申請の結果が早晩届くと議長自らに言われて大喜びです。これで勲章の代わりに譴責状でも来たらシン脱走確定です。
イヤッホー!
一服したところで世界情勢の説明に入るギルバート。情勢は相変わらず複雑ですが、宇宙の方は小さな小競り合いが散発している程度だとか。

おもむろに語りだすギルバート。
戦いを回避しようとする事は戦うと決める事よりも遥かに難しい・・・と。

しかしそれに反論するシン。普通に、平和に暮らしている人々は守られなければならない。だから敵の脅威がある時は戦わないといけない。そうしないと何一つ守れないと。

更に語りだすアスラン。カガリの言葉を引用します。「殺されたから殺し、殺したから殺されて、それで最後に本当に平和になるのか?」と。彼はその答えを見つけられずにいます。そしてこれからもアスランはその答えを探し求め続けるのでしょう。

そこで語りだすギルバート。戦争が何故なくならないのか?何故人類は同じ過ちを繰り返すのか?とシンに問いかけます。
シンは「大西洋連邦やブルーコスモスのような馬鹿な連中がいるから。」と答えますが、ギルバートは、戦争にはもっとどうしようもなく、救いようの無い一面がある事を語り始めます。

戦争は大勢の兵士が戦死し、武器弾薬が大量に消費されるだけではなく、兵器が破壊され、町や施設も破壊され、時には一般市民も巻き添えで死に、あるいは大戦中のB17やB29による戦略爆撃のように敵方の生産性を低下させるために意図的に民間人を大勢殺すこともあります。
そして失われた兵器類や戦略物資(食料、燃料、日用品、衣服類等々・・・)を最前線に送るためにあらゆる業種の工場がフル稼働し、兵士が養成され、勿論その装備だって整えるために莫大な経費が使われます。
そして破壊された町や施設を再建するために、また多くの費用と雇用が発生します。
近代の戦争が総力戦だというのは決して大げさな話ではないのです。
搭載15 補給30000(ウソ)
シン達が目の前に佇む新型MS、グフ・イグナイテッドの単価のみならず、自分達が乗り回しているMSの価格や、それを維持管理するための経費の事なんか考えたことは無いでしょう。

ギルバートはシン達にあえて語って聞かせたのです。戦争は莫大な利益を生む経済活動だということを。そして戦争の原因は単純な欲望や憎悪のみならず、兵器が使われなければ、それにかかわる企業は儲からない。ならば、言いがかりでもこじつけでも、とにかく無理矢理にでも戦争を起こして兵器の回転率を上げればよいと。そう考えている組織があると。

そしてこの戦争の裏にはテロ組織ブルーコスモスの上位団体、ロゴスがいるということを。そしてロゴスがある限り、プラントと地球連合はこれからも戦い続けていくだろうということを。

しかし、ギルバートはもう一つの側面を語っていません。すなわち、戦争がロゴスにとって儲かる商売であるように、プラントにとってもそうであるという事を。
たとえ国力で劣っていても、戦争遂行のためなら市民生活を圧迫させてでも戦争関連の産業の回転率を上げようとするのが交戦国というものです。そしてたとえ敗戦となっても時の政権なり政治体制が崩壊するだけで、国民と戦争に携わってきた企業は残ります。それは第2次大戦のナチスドイツや大日本帝国でもそうです。そしてこれらは弱体化は可能でも根絶はほぼ不可能なのです。
もっともギルバートにとっては見所のある優秀な人材に敵の存在を明確にすることによって、より大きな戦果を挙げさせ、更にこうしたことをあえて語ることによって自分に対するシンパシィを高めようという効果を狙っているのかもしれません。

そして真面目で難しい話の後、屋敷に駆け込んでくるミー・・・ラクス。
「これ、まって〜な」と妙な関西弁を喋る付き人は誰なんでしょうね?

で、今夜は豪華な屋敷でお泊りすることになったミネルバ一行。レイはアスラン達に配慮して自分が艦に戻ると申し出ます。さりげなくギルバートの愛人のタリアにも気を使っているのでしょう。

そこに場の平和な雰囲気をぶち壊しにする悪魔の使者が襲撃してきます。
どどどどど・・・「アスラ〜ン!」
ドカッ!「ギャッ!」
ルナマリアを蹴散らし、アスランに抱きつくミー・・・ラクス。ポカーンと見つめる妹以外に興味がないシン。
ザラ隊長はモテモテだなあ・・・
その晩、アスランと秘密会談の場を設けるギルバート。話題はアークエンジェルと本物のラクスの行方についてです。
アスランなら何か知っているかもしれないと訊いて見るギルバートですが、アスランは今までシンを手なずけるのに忙しかったので知っているはずがありません。

仕方なく、アスランにラクス一党から連絡が来たら知らせてくれと依頼するギルバート。しかし、アスランはザフト軍特殊部隊によると思われるラクス暗殺未遂事件の首謀者がギルバートかもしれないということを知る由もありません。
今度はもっと強力な殺し屋を送らなきゃ・・・
果たして真相は如何に?

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