PHASE−20 「PAST」 |
今回は今まであまり詳しく語られていなかったシンの過去を語っています。 今から約2年前、シン14歳。世界ではプラントと地球連合が全世界規模で命をかけたバカ騒ぎを繰り広げていましたが、彼が家族ぐるみで移住したオーブはスペースコロニー・ヘリオポリスが戦争の巻き添えを喰って崩壊したりしましたが、平和そのものでした。 彼も戦争の行方よりも新しいゲームの発売日や、それを買ってもらえるかどうかの方が気になるちょっと妹フェチなフツーのガキでした。ちなみにアスカ家の面々は全員コーディネーターです。 「あ〜お兄ちゃんがくり●●●ロン見てる〜」「ち、違うぞ!」 そしてオーブ連合首長国はオーブの法と理念さえ守れば種族・民族を問わず受け入れるという政策を取っていたので小国ながらかなりの国力を有するに至っていました。 コーディネーター絶滅を目指すテロ組織の使い走りになった大西洋連邦やナチュラル皆殺しを基本方針にしているザフト軍を擁するプラントと比べたら正に別世界です。 シンの独白で「コーディネーターでも宇宙に住みたくない人がいる」と言っていましたが、プラントのナチュラルを蔑視するような風潮(それがナチュラルに不当に迫害された反動だとしても)にどうしてもなじめない人々がオーブに移住という道を選ぶのでしょう。シンの両親もそうした人々の一人であるようです。 そしてナチュラルとコーディネーターが平和に共存できる国だから戦争に介入する事は無いだろうと両親は語っていたとか。 そう、そのはずでした。 その不幸の源はシンが生まれる前から既に育まれていました。 そしてその妬みとひがみが肥大化してテロ組織ブルーコスモスを産み出すに至ったのでしょう。かつて対テロ戦争の旗頭を自認していたであろう大西洋連邦がテロ組織の使用人に成り下がったのも。相手が異教徒だったり自国の国益を損なったり、自国の政治体制の押し付けを受け入れないだけでなく、コーディネーターが自分達に成り代わって国を乗っ取るかもしれないという根拠がありそうで無い恐怖感に囚われたからでしょう。だから彼の国は未だに白人以外に大統領になれた人物がいないのです。 だから、戦争になって、戦争になれば余計相手が憎らしくなって・・・面倒な話だよね、ホント。(シンのモノローグより) 「うるせー大きなお世話だ!」 しかし、度重なる消耗戦に両軍は加速度的にのっぴきならない状況に追い込まれ、遂に地球連合軍が我儘ボクチャンにせっつかれてオーブのマス・ドライバーを手に入れるべく侵略戦争を仕掛けてきました。 名前だけは「オーブ開放作戦」と飾っていますが、誰がどう見ても追い詰められてなりふりかまっていられなくなった地球軍が中立国の侵略に乗り出したと見るでしょう。大方メディアには「オーブの首長達による専制政治からオーブの国民を開放する」とでも宣伝したと思われます。 ある国が他国を侵略する時に「我が国の軍隊が、その国の圧制から国民を解放するために正義の戦いを仕掛ける」と言うのはたとえ大嘘でも掲げなければならない口実です。ソ連が東欧を侵略した時も中国がチベットを侵略した時も北朝鮮が朝鮮戦争を起こした時も、そしてアメリカがイラクに戦争を仕掛けた時も似たような口実を掲げてその国の人口を大幅に減らしました。近代の戦争は封建時代の戦国大名や王朝同士の戦争と違い、たとえ上辺だけでも、もっともらしい口実を設けないといけないのです。 そして・・・・ 「君だけでも助かってよかった。きっとご家族はそう思っていらっしゃるよ・・・」 トダカ一佐の言葉に押さえつけていた感情が一気に噴出し、泣き崩れるシン。 そして戦争は両軍ズタズタに消耗しつくして終わり、シンはトダカ一佐の計らいでプラントに渡り、軍に志願します。 「いいかぁ?我がザフト軍は無抵抗の捕虜を笑って銃殺できるくらいで無いと一人前と認められないからなぁ!お前達も早く笑って人殺しができるようになれよー!」 「そうかあ、ザフト軍じゃ虐殺は常識かあ!」 こうしてみんな立派なザフト軍人になりましたとさ シンは理念を守り通しても家族を守ってくれなかったオーブを怨み、守る力、敵を滅ぼす力を与えてくれるザフト軍に入隊する事でオーブの理念が間違っていると証明しようとしているのでしょうか? 「俺は主人公のシン・アスカ!夜露死苦ぅぅぅ!」 どかーん! ならば俺は戦う!戦って、今度こそ 「私が主人公なら良かったのにね〜!」 |
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