ＰＨＡＳＥ−２９　「ＦＡＴＥＳ」

ミネルバがクレタでボロクソに叩かれている中、声がシャアのギルバートは愛用のチェス盤を前に思索にふけります。彼の目の前にはかつて対局したクルーゼの姿が・・・ キラとラクス馴れ初めについては彼は知らないようですがそれは回想シーンを見るとして、プラントの光となるはずだったラクスとアスランのカップルが結局結ばれる事無く、またしても対立する事となってしまった事に憂慮しているようにも思えます。 魂が引き合うように結ばれたキラとラクスにタリアの面影をかぶせ、かつてクルーゼと語り合った生きることの意味を改めて自問するギルバート。 かつて語り合ったクルーゼは自分の生い立ちに、生に、世の中に絶望して全てを道連れに自らを消し去ろうとしていましたが、ギルバートはそんな彼に呪われた運命に逆らって戦おうとする姿を見出していたようです。前作でクルーゼが愛用していた謎の薬はギルバートから彼に贈られた物のようです。 更にギルバートの自問は続きます。彼が望んだ事が叶わないと知った時、そして望んだ物が自分の手に入らないと悟った時、どうしたらいいのかを。 そんな彼の煩悶に答えるクルーゼの幻。ギルバートは何か思索にふける時、彼の心の中に生きるクルーゼに問いかけ、それによって答えを引き出すようです。 漫画「蒼天航路」２５巻で曹操が幕僚に「既におらぬ者の言葉が欲しいなら、その人間を丸ごと自分の中にぶちこみ、数多くの自問をする事だ」と語っています。ギルバートもクルーゼを自分の心の中に住まわせ、色々とそれに向かって悩みを相談しているのでしょう。 そしてタリアとの別れを思い出すギルバート。子供が欲しいからプラントのルール（次世代を生み出すための婚姻統制）に従う、だから自分とはいられないというタリアの言葉を素直に受け入れるギルバート。「そうか・・・」と呟いたギルバートの言葉の後に浮かんだタリアの表情はやはり彼に止めてほしかったのでしょうか？ 「誰が決めたというのだろう・・・・何を？」 「仕方が無かった・・・ではそれは本当に選んだ事か？選んだのは自分か？選び得なかった道の先にこそ、本当に望んだ物があったのではないか？」 そんな彼に冷たく答えるクルーゼの幻。「そうして考えている間に時はなくなるぞ・・・」 「何故・・・別れようなんて言うの？」 「だって君・・・声がキシリアだし」 ←キシリア ギルバートが本当に望んだ物、本当に欲しかった物。愛していた女性と別れざるを得なかったあの時、別れの時に涙を浮かべた彼女を引き止めれば、果たして彼女はついて来てくれたのか？ でも今はおそらく人妻で、おそらく最低一人は子供を生んでいるタリアとちゃっかりこんな関係に・・・ さすがは声がシャアのギルバート・デュランダル！転んでもタダでは起きません。 「救いとは何だ？望む物が全て、願った事が全て叶う事か？こんなはずではなかった。だから時よ戻れと祈りが届く事か？ならば次は間違えぬと、確かにそう言えるのか？君は？誰が何を決めたというのだ？何を？」 クルーゼの幻との語り合いの末、彼は決意を新たにします。 「ならば私が変えてみせる・・・全てを！戻れぬというのなら、始めから正しい道を！アデニン、グアニン、シトシン、チミン・・・己のできる事、己のすべき事、それは自身が一番良く知っているのだから・・・！」 アデニン・グアニン・シトシン・チミンとは、　ＤＮＡの核酸塩基のことらしいです。詳しい事は訳分からないのでこの４つの言葉で検索すれば出てくるでしょう。

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