ＰＨＡＳＥ−３０　「刹那の夢」

オーブ軍の涙と意地の攻撃によってボロクソにぶっ壊され、どこぞの湾内に潜伏中のミネルバ。火器は壊滅状態らしいですが、機関部には深刻な損傷は無いとのこと。しかし、ガナーザクウォーリアとセイバーは全壊。ルナマリアは重傷。レイのザクファントムも中破とＭＳ隊はほぼ壊滅状態。次にまとまった数の敵部隊が攻め寄せてきたらいくらシンがキレて強くなっても確実にアウトです。ここでは語られていませんでしたが、乗組員の死傷者数も前回の比ではないでしょう。
捨てちまえ！こんなガラクタ！
オーブ軍との戦いには勝ったものの、アークエンジェルとフリーダムのおかげで、深刻な敗北感を味あわされるタリア以下ミネルバのクルー達。
くっそ〜覚えてろ〜
その頃、いつの間にかオーブ軍の残存兵を収容したアークエンジェルではアマギ以下のオーブ軍人達が、トダカ一佐の最後の言葉をカガリに伝え、浪花節な盛り上がりに包まれていました。自らの至らなさに泣き崩れるカガリの姿に男泣きに泣くオーブ軍人達。
真の主君にめぐり会えた志士達
そこに言葉足らずながらも、このまま争っていてはダメだ。やり方は間違っているかもしれないけど、憎しみの連鎖を止める為の行動を取らなければならないと説くキラ。
それに答えるアマギ。
「無論です、キラ様！仇を討つためとか、ただ戦いたいからとか、そのような思いで我等はここに来たのではありません。我等はオーブの理念を信奉したからこそ軍に身を置いたオーブの軍人です！ならばその真実のオーブのためにこそ戦いたい！難しいことは承知しております。だからこそ我等もカガリ様と！この艦と共にと！」
キラ様に敬礼！
そしてキラに最敬礼するオーブの志士達。敬礼されて戸惑うキラ。軍服を着ていながらも正規の軍人としての教育をまるで受けてないキラらしい反応といえます。
アマギがキラを様付けして呼んだのは彼の実直な性格ゆえか、あるいは、オーブ軍のある程度上位の軍人はキラとカガリの関係（双子の姉弟）という事を知っているのでしょう。
せめて艦長のハダカを見て癒されよう。
そんな明るい希望の予兆に包まれたアークエンジェルとは対照的に、陰鬱で暗〜い雰囲気に包まれたミネルバでは、ステラがますます衰弱の度合いを深めていました。衰弱しても拘束ベルトは相変わらずな所が、何気に軍医のズサンな管理ぶりを思わせます。 しかも暴れださないようにと鎮静剤を打つくらいの処置しか行っていないようです。
そんなステラにシンがしてやれる事は、ただそばにいて声をかけてあげることだけ・・・
殺すなら得意なのに・・・
一方のラウンジではメイリンがヴィーノとヨウラン相手に戦いの度に益々凶暴になっていくシンの恐ろしさを語っていました。そんなメイリンに姉たる自分の見舞いに来ないとは何事かと文句を言うルナマリア。
しかし、この姉妹はアスランを巡っての姉妹間戦争を継続中。いくらメイリンがオンだったとはいえ、恋敵に塩を送るようなマネはできないのです。
俺は姉妹間戦争には関心がないよ。
一方、スエズの地球軍基地では、ステラとアウルを喪い、とうとう一人になってしまったスティングを見守りながら「何故自分達は戦うのか？」という疑問に取りつかれるネオ。彼等ファントムペインはジブリールの命令のままに戦う戦闘機械軍団。主君たるジブリールがいくらアホでも従わざるを得ないのが彼等なのです。
上司運の無い部下はつらいよ・・・
その頃、相変わらず陰鬱な雰囲気のミネルバでは破局が駆け足で近付いてきていました。タリアと軍医の会話をシンが偶然立ち聞きしてしまったのです！
いい加減な治療しか施していないくせに、さもどうにもならないような事を言って遠まわしにさっさと殺してしまえと勧めるヤブ軍医。とはいえ、ステラは貴重な鹵獲品。タリアとしては生きたエクスペンデットのサンプルを評議会に引き渡したいので軍医がヤブなのを承知で延命処置を続けるよう命令します。

「食糧不足が深刻なのよ。」
「あの捕虜、食べられそう？」「ちょっと薬臭いけど大丈夫でしょう。」
「ステラを食っちまうのか！？」
「あ、私には脳味噌を廻してね。煮込むと美味しいから。」「じゃあ私は肝を貰いますよ。」
「俺、お尻の肉がいいな・・・じゃなくて何とかしなきゃ！」

そんなタリアもシンが彼女を見舞っているのが気になるようで、ヤブ軍医にその事を質しますが、ヤブ軍医は「なんであんなの」扱いです。所詮ヤブ軍医もタリアもザフト軍人。本当なら捕虜はさっさと始末したい所なのに功績の大きいシンがしきりに気にかけているのと、ガンダム強奪事件の犯人で珍しい生きた生体ＣＰＵのサンプルなので、やむおえず生かしておいてあるだけの話。二人のやり取りはザフト軍人としては当たり前のことを言っているだけなのですが、シンにしてみれば愛しのステラが敵からも味方からもモノ扱いされていることに激しい憤りを感じるのは当然の事。
やっと主人公らしい立場を固めたぜ！
ステラに対して何もしてあげられない自分に対する苛立ちをアスランにぶつけた後、自室のＰＣでガイアのデータを呼び出して何やらおっ始めるシン。
そして事件は起こりました。シンは医務室に乗りこみ、看護婦を殴り倒してステラを運び出します。

「あらぁ、この女の子の解体は明日よ・・って、シン！？」
「必殺ぅ・・・！」
「スーパー内臓破裂パンチ！」「グフェッ！」
「物音を立てないようにそ〜っと行かなきゃ・・・」

格納庫では警備兵と整備士達が暇を持て余して雑談にふけっていました。そこにガラガラガラと大きな音を立てながら気付かれないようにこっそり通り抜けようとするシン。
案の定見つかって誰何されますが、そこに常にシンの味方のレイが駆けつけ、あっという間に警備兵を素手で全滅させてしまいます。
無能なカカシ兵隊達
レイの助けを借りてインパルスに乗り込み、脱走を果たすシン。

一方、レイは逮捕されてタリアの部屋に連行されて来ます。タリアの詰問にシンは必ず戻ってくると答えるレイ。タリアはこれもあの人（おそらくギルバート）の指示かといぶかりますが、レイは否定します。そういえば２４話でもレイがどこからかロドニアのラボの情報を入手していましたが、あれもギルバートから送られて来た者なのかも知れません。
今回の事は自分の一存だから通常の処分をしてくれと言うレイ。通常の処分とは当然ザフト軍軍規に則った処分と言う事なのでしょうが、それだけでも彼が他の者達と違った特別な存在である事を匂わせます。

「レイ、アナタえらい事してくれたわね・・・覚悟はできてるんでしょうね？」
「覚悟はできています。どうぞ、煮るなり焼くなりお好きなように。」
「フフフ・・・いい度胸ね・・・それなら火炙りと釜茹でと車裂きと水責め皮剥ぎとくすぐり責めと銃殺の中から好きなのを選ばせてあげるわ。」
「・・・前言撤回させてください・・・」「ダメ。」

レイとギルバート、そして故クルーゼとの関係は断片的に出てくる回想シーンで想像するしかありませんが、タリアもそれを知っているようです。しかし、これだけの不祥事をおいそれとタリア一人の判断で即処分というわけにも行きません。
とにかく行ってみないとね
一方、地球軍でも既に失われたはずのガイアの識別コードで怪しい誰かが呼びかけていることに戸惑っていました。ステラが待っているからネオ一人で引き取りに来いという怪しさ大爆発の通信にとにかくも単機出撃するネオ。で、指定された待ち合わせ場所にやって来てみると、ステラを抱えたシンが現れます。ステラが生きていた喜びよりも常識では到底考えられない光景に絶句するネオ。
誰か俺のホッペをつねってくれ
そんなネオの心境もかまわずに一気にまくし立てるシン。ステラを戦争から遠ざけると、暖かく優しい世界に帰すと約束してくれと。ネオの立場からすれば約束できるわけありませんが、真剣そのもののシンの前では口が裂けてもそんな事言えません。ステラを引き取り、立ち去ろうとするネオを呼び止め、シンの宝物ともいえるステラがくれた貝殻をステラに託し、俺のことを忘れないでくれと囁くシン。
悲しくなんか無いやい！
涙をこらえ、飛び去るインパルスを黙然と見送るネオ。しかし、彼にはシンとの約束を守ることも、ステラを戦いの呪縛から解き放つ事もできません。彼は地球連合軍の軍人であり、ステラは人ではなく、軍の兵器として生かされている存在なのだから・・・・
ＴＯＰへ
ＰＨＡＳＥ−２９「ＦＡＴＥＳ（フェイト）」
ＰＨＡＳＥ−３１「明けない夜」