PHASE−32 「ステラ」 |
ロシア平原を皮切りに進路上のザフトに与した諸都市を焼き払い、なんとベルリンにまで到達したデストロイガンダムことステラ大魔神。第2次大戦時にソ連軍が攻め込んで以来の惨禍に巻き込まれ、逃げ惑う市民達。懸命な防戦も空しく虫ケラのように蹴散らされるザフト軍。街ごと吹っ飛ばされる市民達。その圧倒的な破壊力に御満悦のジブリール。 しかし、どう考えてもやりすぎな行為にロゴスの長老達は戸惑いを隠せません。彼等は退治するべき敵であると同時に大切な商売相手でもあるのです。しかし、テロリストと商売人の考えが噛み合うはずもなく、ジブリールは長老達の非難もどこ吹く風です。 彼の理想の世界とはコーディネーターとそれと共存する人々が一人もいなくなった世界であり、彼の思い通りに動く世界なのです。 それはともかく、ベルリンで暴れ狂うステラ大魔神を止めるべく颯爽と現れるフリーダム&アークエンジェル。世紀の怪物のあまりの大きさにビックリのキラ。 見た感じフリーダムの10倍の大きさは優にあります。それはともかく、小うるさいハエを叩くべく、MS形態に変形するステラ大魔神。縮尺がおかしいんじゃないか?という野暮なツッコミは置いといて、デストロイの破壊力の凄まじさに、ただただ愕然とするしかないアークエンジェル一党。 ゴッドフリートも跳ね返す超難敵&ネオ、スティングのコンビに苦戦するキラを見かねて出撃しようとするカガリのお供を申し出るオーブ兵達。オーブの侍達にしてみれば、もうオーブの理念云々を言っている場合ではありません。人類対大魔王の戦いに等しいのです。 「♪飛ばぁせーてぇっけん!」 「ロケットパンチィ〜!今だ〜出すんだ〜!・・・」 「ブレストファイャア〜!」 「それ熱線じゃなくてビームじゃんかよ〜!」 そうしてる間にもステラ大魔神のロケットパンチに追い回され、危機に陥るキラ。 一方、プラントの評議会も地球軍の余りにも無茶苦茶な行為に憤りを露にしていましたが、各都市の駐留軍が壊滅した今、世紀の怪物相手にどうする事も出来ません。一時撤退を進言する国防委員長でしたが、声がシャアのギルバートは言下に却下します。他に有効な対策がない今、搭載機がインパルスしか残っていないミネルバ(とアークエンジェル)を頼る以外ありません。 軍人である国防委員長の視点から見れば、軍のこれ以上の消耗を防ぐ為にも撤退するべきだ言う意見に行き着くのは当然なのですが、政治家であるギルバートにしてみれば、ここでの後退は軍事的に不利になるばかりか、折角信用を築いてきたザフトの沽券にもかかわるのです。 ベルリンでは大苦戦中のキラにカガリ&ムラサメ3機が加勢に加わり、キラは袋叩きの危機を免れます。カオスをカガリ隊に任せ、ステラ大魔神に立ち向かうキラ。 そこにおっとり刀で駆けつけるミネルバ。ステラ大魔神と戦っているのがアークエンジェル一党と知って驚きを隠せません。意外な状況に苛立ちを露にするタリア。 「さすが正義の味方の大天使ね。助けを求める声あらばってことかしら・・・」 と皮肉をとばします。そんな彼女が余計なゴタクを並べている間にもカガリは自ら盾になって流れ弾から市民を守るという実にいい仕事をしています。 兎にも角にも戦闘態勢に入るミネルバ。タリアはシンを呼び出し、状況を説明した後、敵を間違えるなと釘を刺します。こうでも言っておかないとキレたシンまで無差別攻撃に加わりかねません。不満そうなシンに心配顔のアスラン。 フリーダム対ステラ大魔神の戦いは膠着状態に陥っていました。フリーダムはステラ大魔神の攻撃をことごとくかわし、ステラ大魔神はフリーダムの攻撃をことごとく跳ね返します。 そこにいつものように戦場のど真ん中でたっぷりと時間をかけて合体して現れるフォースインパルスガンダム。愛機がスクラップになったアスラン達は黙って見ているしかありません。 お互いに乗っているのが誰だか知らないまま戦闘を開始するシンとステラ。ビームライフルが効かないと悟ったシンはステラ大魔神の攻撃をかいくぐり、ビームサーベルで腹に斬撃を加えます。 しかし、それは余計にステラを怒らせるだけでした。怒り狂って所かまわず攻撃するステラ。更に破壊されるベルリン。 「なんでそんなに殺したいんだー!?」と自分の今までの行いを棚に上げて激怒するシン。デストロイに更に斬撃を加えるべく突貫した所に割って入りインパルスに抱きつくネオ。 「やめろ坊主!あれに乗っているのは・・・ステラだぞ!」 この瞬間、彼はファントムペインのネオ・ロアノーク大佐という軍人からネオ・ロアノークという一人の人間になったのです。元々ネオがジブリールに従っていたのは軍人としての義務感だけで、彼のやり方には全く共感していなかったのです。だからこそ、ラボの研究員達の忠告にも従わず、3凶人に情を持って接していたのです。それがアウルを失い、一度死んだと思っていたステラがシンによって返された時、ジブリールに対する反感が一気に加速されたのでしょう。それはともかく、衝撃の事実を聞いて愕然とするシン。慌ててデストロイのコクピットをクローズアップしてみると、そこには確かにスーツに破片の突き刺さったステラがいるではありませんか! 信じられない光景に呆然とするシン。ネオの姿をみとめ、泣きながら近寄るステラ。そこにインパルスが狙われていると勘違いしてデストロイに攻撃を加えるキラ。ステラはひたすら怯えて戦闘不能に陥ってしまいます。 「ちゃーんす!」ビシューン! どかーん! 「きゃー!」 「いった〜い」 怒ってフリーダムを攻撃するネオでしたが、相手が原子力では分が悪すぎます。両腕を打ち抜かれ、バランスを崩して墜落爆発するネオのウィンダム。マスクが吹っ飛び、意識を失い倒れるネオの姿をアークエンジェルのカメラが捕らえた時、マリューに異変が起こりました。 デストロイが沈黙し、ネオが撃墜されたのを見て後退しようとしたスティングでしたが、その隙を突かれて、互角に渡り合っていたムラサメ隊に一気に攻め込まれてしまいます。見事な連携攻撃で一気にカオスを撃破するムラサメ隊。 大殊勲です。スティング・・・死んだか?? 一方、ステラはネオが撃墜されたのを目の当たりにした瞬間、人工的に消されていた記憶が一気に甦り、錯乱状態に陥っていました。遂にブチ切れ、乱射を始めるステラ。止めようとするフリーダム。タリアが心配したとおり、フリーダムに襲いかかるシン。驚く一同。 フリーダムを追い払った後、デストロイに近付くシン。ステラを刺激しないように攻撃をかわそうとせずにゆっくりと・・・ 「大丈夫だステラ!君は死なない!君は俺が、俺が守るから!!」 懸命に呼びかけるシン。その声にシンとの出会いを思い出すステラ。ネオ以外に彼女を守ると言ってくれた心優しい少年の事を。見詰め合うインパルスとデストロイ。その瞬間、二人の魂は肉体を離れ、再会の喜びを分かち合っていました。二人だけの世界で裸で抱き合うシンとステラ。 しかし、コクピットのそばで小さい爆発が起こり、ステラが現実に引き戻された時、悲劇は起こりました。彼女の視界にス〜ッとネオを殺した憎いアンチクショウの姿が入ってきたのです! 一気に暴走モードに入るステラ。胸部ビーム砲の発射態勢に入るステラ大魔神。そこにシンを救うべく突き出されたフリーダムのビームサーベルが!!更にもう一本突き刺すフリーダム。大爆発を起し、断末魔の最期の一撃といわんばかりに頭部からビームを吐き出すデストロイ。 「今必殺のぉ〜ブレスト・・・」「わ〜!タンマタンマ!」 「ヤマト流奥義!完殺急所突き!」ブッス〜! 「地獄の閻魔への手土産だ!もう一本持って逝け!」 どっかーん! 更地と化したベルリン市街に降り立ち、愕然とするマリュー。髪が伸びているものの、そこには彼女がかつて愛した男に瓜二つの敵士官が倒れているのだから・・・・ 破壊されたデストロイのコクピットからステラを連れ出し、悲しみにくれるシン。そしてステラの命の灯火は消えようとしていました。ステラの手を取り、懸命に呼びかけるシン。 「シン・・・・好き・・・」 と純情な少年を一生呪縛するであろう呪いの呪文を唱えて息絶えるステラ。ステラの死にマユの死を重ね合わせ、号泣するシン。 神よ、これが罰だというのでしょうか?唯我独尊に毒された巨大な力によって操られるがまま、死と破壊をもたらす邪神を操り、幾つもの都市を焼き、無数の人々の命を奪った少女への・・・ 神よ、これが報いだというのでしょうか?憎しみに取り憑かれ、ひたすら力を求め続け、数多くの同胞の命を奪い、かつて彼の心を救ってくれた恩人を知らぬこととはいえ、その手にかけてしまった少年への・・・ |
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